日住金株主損害賠償訴訟 経過報告 弁護士 吉川法生
1 訴訟名/日住金株主被害者損害賠償請求事件
2 原告/三〇名
3 原告弁護団
4 被告役員/@日住金代表取締役及び常勤監査役/全七名(二一乃至二四期)
A朝日監査法人・三興監査法人
5 被告弁護士/@につき、須藤修・甲斐順子他七名の弁護士
Aにつき、河村一郎・三浦州夫弁護士
6 請求の趣旨の要約/請求の趣旨は、各期の日住金役員及び監査法人は、各原告に対し、金員を
支払え、である。
但し、請求金額は、原告である株主が被った損害なので一定していないが、原告全員の損害額
の合計は金九〇、三四六、〇〇〇円である。
7 提訴日/原告六名による第一次訴訟につき、平成八年六月二十七日
原告四名による第二次訴訟につき、平成八年十月七日
8 係属裁判所/大阪地方裁判所
9 担保提供の有無/無
10 取締役の行為/株式会社は、有価証券報告書により株主等に対して会社の経済状況等の情報を
開示しなくてはならないところ、日住金は有価証券報告書に虚偽の内容を記載した。
すなわち、日住金が顧客に融資している金銭のうち、取立不能のものがかなりあることが当時
(二一乃至二四期平成四年乃至同七年)わかっていたのに、それを融資金から差引かないで記載
したため、取立可能額が実際よりも多く見える状態になっていたり、あるいは、貸倒れが生じた
場合に備えて貸倒れ引当金を計上しなければならないが、当時貸倒れが予想される額にくらべて
ほんのわずかの貸倒れ引当金しか計上していなかった為、予想される貸倒れが少なく見えていた。
そのため、有価証券報告書からは日住金が不良債権をたくさん抱えた経営状況不良の会社だとは
わからず、日住金の株価は本来あるべき株価よりも不当に高い値がついてしまい、当時株主と
なった人は本来あるべき株価よりも高い株価で株を購入せざるを得なかった為、本来なら被ら
なくてもよかった損害が生じてしまった。
そこで、このような有価証券報告書を作成提出した責任者である日住金の取締役や、有価証券
報告書の記載内容が適正であると監査した監査法人に、これらの損害の賠償を請求している。
根拠条文は、証券取引法二四条の四で、ここに有価証券報告書虚偽記載に基づく損害賠償請求
が認められている。
この規定の趣旨は、有価証券報告書を提出させることによって、企業内容や有価証券に関する情報
を開示させ、流通市場における投資判断資料を提供させる、従って、正確であるべき報告書に虚偽
記載等があった場合には、これを信頼して有価証券報告書を取得した者が不測の損害を受けること
になるので、それを救済するというものである。
11 争点/10でも述べたように、訴訟の争点は、有価証券報告書に虚偽の記載があったかどうか、と
いうことになる。
虚偽記載があったことは株主の方で立証しなければならないが、虚偽記載のあることについて
故意・過失のなかったことは、役員・監査法人の方に立証責任が課されている。
裁判手続としては、四回弁論が開かれ、被告は、虚偽記載のなかったことや企業会計原則に基づき
処理した等を主張し、争ってきている。
これまで、証券取引法二四条の四に関する裁判例はなく、本件がリーディングケースといえる。
住専問題に関しては、会社の所有者である株主、特に個人株主は、正確な情報も知らされていない
まま、そして会社の運命に関しても何も言えないまま、気付いたら株券が紙くず同然になっていた
という状況である。他方、金融機関等の株主は、大蔵省の第一次立入調査以降、売抜けをしていた
ことも指摘されている。
このように本訴訟は、蚊帳の外に置かれていた株主の怒りの声を反映し、株主が不当に被った損害
の回復を図るための訴訟ということがいえる。
日住金株主損害賠償訴訟 経過報告終わり
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